ヴィシェフラド

ヴィシェフラドは、スメタナ作曲の6曲からなる組曲「わが祖国」の最初の曲で、スメタナの命日に当る毎年5月12日、チェコ共和国大統領とプラハ市市長臨席のもと、市民会館のスメタナ・ホールで開催されるプラハの春音楽祭開演初日に、まず真っ先に演奏される曲である。14世紀カレル四世の時代にはまだここに白いお城もあったが、15世紀のフス戦争で教会もろとも破壊され、ハプスブルグの時代になると対プロシャとの戦いに備えた要塞として塹壕も掘られ、1870年代になるとチェコの著名人達を偲ぶ国民墓地も造られ、以来伝説に彩られた眺めの良い市民の憩いの公園になっている。この地下鉄のヴィシェフラド駅は地上駅で珍しくホームも左右にあり、街の中心部からなら降りたホームからそのまま出て白亜の文化宮殿を端まで行くと、右手少し先に城門だったレオポルド門が現れ、くぐると左右に昔の城壁が連なりすぐ次のターボル門になる。城壁から眺望を楽しみながらというなら、ターボル門のあとすぐ左の小道を行けばそのまま城壁の上に、まずは教会と墓地をというなら、その先の円形のロマネスクの小さな聖マルティン教会まで行き分れ道を左に折れると、国民墓地のあるペトル・パヴェル教会が見えてくる。教会の向かい側のカフェ・レストランの右手角にある大きな胸像レリーフは、ボヘミア王族プシェミスル家最後の王女でカレル四世の母でもあったエリシカ。教会横の広々とした空き地が王城跡地ヴィシェフラドスケー・サディで、その王城跡地の先にある城壁から川に面した絶壁を見下ろすと、チェコの卑弥呼リブシェが水浴びをしていた白い石の露台が見え、川の下流に当たる北向こうのはるか丘の上に聳えるプラハ城までが見渡せる。

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