旧市庁舎

旧市庁舎は1338年に、ここにあった五軒の家の内部を繋いで市庁舎とし、更に東側に礼拝堂を増築、その上部に69.5mの塔を建て、その塔の南面に1410年、カダニェの時計職人ミクラーシュの天文時計を取り付け、現在目にするプラハの街のシンボルとも云える、見事な建物が完成する。しかしその三つの部分と四つの時間の動きを精巧に組み合わせた天文時計の不思議な人知を超えた素晴らしさに、魔法使いではないかとのあらぬ噂を立てられ、一説には他の街でも作られることを危惧した当時の市議会による差金により、或る夜二人組の男に襲われ、職人ミクラーシュは両目をつぶされてしまう。この天文時計を見た市民がまずびっくりしたのは、毎定時になると、まず天文時計右脇の骸骨が左手に持った砂時計をひっくり返し、右手で綱を引いて、小さな緑の庇の上の小さな塔の鐘を鳴らし、同時に二つの小窓が開くや、片側6人片側6人、全12人のキリストの使徒達がそれぞれのアイテム、聖ペテロは鍵を、聖マタイは斧を、聖ヨハネは聖杯を手に、現れてはこちらを向き、挨拶しては退場する、精妙なからくり人形の仕掛けだった。真ん中の天文時計には四つの時間が一緒になっている。外周のラテン数字がここ中央ヨーロッパの普通の時刻。金色のゴシック数字が古代ボヘミア時間と云われるもので、よく見ると日没時から24時間が始まっているのがわかる。バビロニア時間は昼間を12等分するので、したがって毎日一時間の長さが違うので、昼の青色、夕暮れの蜜柑色、夜の黒の三色に色分けされた表面に、目盛は曲線で描かれ、針を上下する太陽のマークが、冬から夏至に向っては針の先の方へ、夏から冬至に向っては中心部へ、徐々に移動することになる。更に天文時計中央部には星占いでお馴染みの十二の星座、牡羊座、射手座、魚座などのシンボルマーク、黄道十二宮が輪を成し、天球における地球の位置を示している。現在この旧市庁舎は、内部のゴシック時代に使われていた議会場もそのままに、結婚式会場としても貸し出されているが、地下にも生埋めの刑で囚人を収容した穴倉のような牢獄も残っている。またここ旧市庁舎の塔は、エレヴェータで昇ることができ、塔からは旧市街広場を中心に360度の街の視界を箱庭のように眺めることができる。
 見渡せば 柿波みちひく 家模様

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