第三の中庭

第二の中庭東翼にある歩行者専用の四角のアーチを抜けると、眼の前に突如そそりたつ聖ヴィート大聖堂の威容に圧倒される。右手のインフォーメイション・センター、城内郵便局に沿って建物右翼の隅まで行くと、大聖堂の全体像が斜め横からばっちり撮れる写真スポット。そこからこの広い第三の中庭の全容を白いベンチに座りながらゆっくりと眺めることができる。高さ16mの一つの御影石から切り出された繋ぎ目のない角柱モノリトは第一次大戦争後10年間続いた平和の継承とチェコスロヴァキア共和国建国十周年を祝って建てたられた記念の塔。この塔から竜退治で有名な聖人イジーの騎馬像の噴水にかけて、1920年代の発掘調査の際にジジというケルト時代の祭壇の跡が見つかる。大聖堂向いの常時国旗が掲揚されている金色に張り出したバルコニーのある一画が大統領執務室。中庭奥の黒いバルコニーのあるのが旧王宮で、よく見ると旧王宮から大聖堂に王様がミサに臨むために建て増しした渡り廊下が伸びている。大聖堂の塔左下の鋼格子から前にあった教会のロマネスク期の礎石の石積みが覗ける。塔右横に輝く黄金の門が昔の入口で、実は塔を含むこの大聖堂右手が建設当時のオリジナルのゴシック様式。但し屋根のタイルと塔上部の玉葱型鐘楼は1541年の大火災後のルネサンス様式で、プラハ城がハプスブルグの役所として使われ始めた16世紀終盤以降、大聖堂内部に次々と置かれていった彫刻のようなお墓や祭壇はバロック様式で、塔から左手の現在入場口のある方は19世紀のネオ・ゴシックになる。そして929年にここに造られた最初の教会から千年後、アルフォンス・ミュシャをはじめとするアール・ヌーボゥのステンドグラスを最後に嵌め込み、1929年に完成。その千年間のすべての建築様式が時を超え、結晶のように凝縮したアートの教会として、その魅力がこれからも終わりなく営々とつづいていくかのように、内部の照明はすべて21世紀のLEDに取り換えられた。
 時をかけ 峙つアートに あっとくる

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