芸術家の家ルドルフィヌム

チェコ・フィルハーモニーの本拠地・ドヴォジャーク・ホールがあるルドルフィヌムは、1889年ウイーン郊外の森マイアリンクでピストルによる心中自殺をした皇太子ルドルフにちなんで名づけられた。建物は、国立劇場を手掛けた建築家ヨセフ・ジーテクと国立博物館を手掛けた建築家ヨセフ・シュルツの構想により、1875年から9年かけて、創立50周年を迎えたチェコ貯蓄銀行の記念事業として建設された優美なネオ・ルネサンス様式の、まさに美の殿堂だ。広場側正面にはドヴォジャークの銅像が建物に向って立ち、軒上にはヘンデル、モーツアルト、ベートーヴェン、バッハの彫像が並ぶ。切符売り場は右手市電通り側にあり、左手ヴルタヴァ川沿い側から中に入ると、企画展示が開催できるアート・ギャラリーや優雅なカフェもある大ホールで、室内楽専用のスーク・ホールもあるという、当時としては破格の5315㎡の敷地を誇る、また当時の産業力も物語る、チェコスロヴァキア共和国独立後は20年間議事堂としても使われていたという、典雅にして堂々たるコンサートホールだ。ところでこのルドルフィヌムのある広場は、実は旧体制時代は第二次世界大戦後いち早くプラハを開放したソヴィエト軍にちなみ赤軍広場と呼ばれていたが、ベルリンの壁崩壊後は1968年プラハの春のワルシャワ条約軍の介入に抗議の焼身自殺をした学生ヤン・パラフの広場と改称され、地下にはあっという間に大駐車場も造られた。市電通りの向かい側にある古色蒼然たるローマ風の建物がその彼が学んでいた哲学部があるカレル大学本館で、向って左手隅には、ヤン・パラフを悼む荘厳なパネル・レリーフがひっそりと掲げられている。ルドルフィヌム向かい側は手狭になってすでに移転の決まったプラハ美術工芸大学、建物のレリーフ装飾が素晴らしいプラハ美術工芸博物館の方はルドルフィヌム右手市電通り向かい側で、その先にユダヤ人墓地を囲む壁がパジージュスカ通りに向って市電通りに沿って伸びている。この広場から川向こうに架かる橋はマーネス橋、橋の袂の右手には画家マーネスの銅像が、左手川縁にはボート・レストランも浮かんでいる。
 弦管鼓 広場に木霊す 新世界

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